2011年04月14日

ペルセポネー神話

エレウシス秘儀は、エレウシスでBC15Cから行われているギリシャを代表する秘儀です。
キュベレやディオニュソスのように狂乱的なものではなく、瞑想的な性質を持っていたと言われています。
そして、おそらくキュベレやディオニュソスの秘儀になかった重要な要素がありました。
それは、人間の霊魂が死後に冥界に下ってから神のもとに至るまでの旅を、神話に重ねて体験するということです。
まず、この秘儀のもとになったデルメル(デーメーテール、ケレス)とペルセポネーの神話を紹介しましょう。


「少女の神ペルセポネーがアテナやアルテミスと草原で遊んでいて水仙の花(感覚をマヒさせる作用があります)を摘んだ時、大地の口が開き、ゼウスにそそのかされた冥界王ハデスが神馬にまたがって現れ、ペルセポネーを冥界に奪って妻としました。
その時ペルセポネーはゼウスに助けを求める叫びを上げましたが、太陽神ヘリオス、母のデルメル、ヘカテー(月と関係が深くかつては3界を支配したティタンの女神)のみがこれを聞きました。
大女神デルメルは悲しみ、飲食をせずに、両手に松明を持って、黒衣装で地上を探し歩きました。デルメルはヘカテーとともにヘリオスに真相を聞きました。


デルメルがうちひしがれて老婆のような姿で泉の横に座っていると、エレウシスの王ケレオスの娘達に会い、女神とは知られずにケレオスの館に招かれ、乳母となりました。
賢い侍女のイアンベがデルメルの心を和ませ、笑わせました。
デルメルはブドウ酒を飲まず、ハッカ麦水を作らせました。


デルメルはケレオスの息子デモポンを育てることになりました。
デルメルは、デモポンに普通の飲食物を与えず、アンブロシア(神々の食物)を体に塗り込み、自分の甘い息を吹きかけ、毎夜に火力に曝して、不老不死にすべく育てていました。
ですが、母メタネイラがこれを危害を加えているのだと誤解して非難したので、デルメルは本当の姿を現して、人間のおろかさを怒りました。
そして、神殿と祭壇を作って自分を崇拝すれば、秘儀を教えると言ったので、ケレオス王は神殿を作りました。


ですが、ペルセポネーを奪われたままのデルメルは悲しみ、大地が実りを失ったため、ゼウスがヘルメスをハデスの元に送ってペルセポネーを返すように説得させました。
ところが、ハデスがザクロの実をペルセポネーに食べさせたため、1年の1/3は冥界で暮らさねばならなくなりました。
デルメルはこの結果、大地の不毛を終わらせました。


デルメルはエレウシスの王達のところに行き、秘儀を教えました。
秘儀を見たものは死後も祝福されました。
そして、デルメルはオリンポスに戻りました。


また一説によれば、デルメルは王子トリプトレモスに麦の種を授け、翼の生えた龍の引く車に乗せて、空中から世界中に麦の栽培を広めて回らせました。
 derumeru.jpg
      *写真はデルメル
 

posted by morfo at 23:23| Comment(0) | 秘儀神話と秘儀宗教 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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